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最終更新日:2021/07/08
築20年になる文京区の戸建てに住んでいます。 東日本大震災以来、東京でも大きな地震が来るのではないかと心配です。
耐震等級3の家が地震に強いと聞きましたが、今住んでいる家を、リフォームで耐震等級3にすることはできますか?
耐震リフォームで、住宅の強度をどこまで上げることができるのでしょうか?
(文京区・N様)
ポイント
ご質問にある耐震等級とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)で定められた、建物の強さを示す指標です。 品確法が定められたのは平成12年(2000年)と、比較的新しい法律になります。
耐震等級には1から3まであり、等級3が最も地震に強いとされています。
耐震等級は、住宅性能表示では損傷防止と倒壊等防止に分けて記載されます。品確法について詳しくは国土交通省のサイトをご覧ください。
耐震等級3の家が地震に強いのは確かですが、耐震等級を取得するには規定に合わせた設計・施工が必要で、住宅性能を証明する指標として使われています。既存住宅の地震に対する強度を知りたい場合は、耐震診断にも使われる「評点」を基準とすると良いでしょう。
建築基準法に定められた性能を満たす耐震等級1が、評点の1.0にあたるので、耐震等級3は、評点1.5と同じくらいの強度になります。
評点1.5のレベルまで耐震リフォームを行うのは不可能ではありませんが、現在のお住まいの評点によっては大規模な耐震リフォームとなり、かなりの費用と工期が必要となります。下記のQ&Aもあわせてご覧ください。
それでは、耐震診断で「一応倒壊しない」レベルの評点1.0(=耐震等級1相当)では、地震に耐える力が不足しているのでしょうか?
前述のように、耐震等級1は、建築基準法に定められた性能を満たすレベルの強度です。 これは、数百年に一度の地震であっても倒壊はしない強さと言われています。
しかし、2016年に発生した熊本地震では、耐震等級1または2の家にも倒壊したものが見られました。 これは、大きな揺れが何度も起こったことが原因です。
建築基準法に定められた性能を満たしていても、震度6、震度7という地震が続けて起こった場合には、生命や財産を失う危険があります。 住宅の耐震等級や評点に関わらず、地震の際には迅速な避難を心がけましょう。
なお、建築基準法は下記よりご確認いただけます。
熊本地震での被害について、ブログ「地震と建物を考える」でも解説していますので、あわせてご覧ください。
構造用合板で壁を造り、面で支える強い建物になりました。(墨田区・U様のリフォーム事例より)
どこまで住宅の強度を上げることができるのかは、工事の規模によっても異なります。
内部の壁や床をすべて解体し、骨組みの状態から造り直すスケルトンリフォームでは、基礎や土台から強度を上げていくことができるため、ほぼ新築並みの強度にすることも可能です。
ただし、スケルトンリフォームであっても、地盤を強くするには限界があります。 地盤から改良して、より地震に強い家にしたい場合は、リフォームではなく新築をするしかありません。
土地の条件を加味して、リフォームか新築かを選ばれることをオススメします。
築77年の長屋をスケルトンリフォーム。基礎から見直してしっかり補強することができました。(中央区・K様のリフォーム事例より)
スケルトンリフォームほど大規模でなくても、部分的に耐震リフォームをすることは可能です。 しかし、特に築年数の長い住宅の場合は、部分的な耐震リフォームで評点1.0や評点1.5レベルまで補強するのは難しくなります。
「震度7でも倒壊しない家」であるに越したことはありませんが、それが難しいなら、「震度7でも安全に避難できる家」を目指すべきだと私たちは考えています。 そのために、弱い部分を重点的に補強して、避難経路となる通路を確保するための、部分的な耐震リフォームも行っています。
繰り返しの地震によって建物が倒壊したとしても、最初の地震で安全に避難できていれば、一番大切な命は守られるのです。
それほど長く住まない建物ということもあり、一部屋を重点的に補強して、耐震シェルターにしました。(文京区・T様のリフォーム事例より)
耐震等級や評点は、住宅の強度の目安とはなりますが、絶対的なものではありません。
住宅の強度には、築年数や大きさ、壁の数、開口部の大きさなど、様々な要素が複雑に関わっていて、それぞれの住宅に強い部分と弱い部分があります。 同じ住宅は一つとしてないのです。
また、いつ、どんな大きさの地震が起こるかは、誰にもわかりません。想定以上の大震災が発生したら、耐震等級3の家であっても安全とは言い切れないのです。
耐震等級にこだわらず、ご自分のお住まいとリフォームの予算に合わせたオーダーメイドの耐震リフォームをオススメします。