TOP > リフォームお役立ち情報 > リフォームQ&A > 住まいの設備 > フロアタイルか無垢フローリングで、マンションの「L-40以上」の規定をクリアできますか?
最終更新日:2021/03/30
マンションの畳の部屋を、フローリングにリフォームしようと思っていますが、子供がいるため、床の騒音が心配です。
マンションの規約では「フローリング L-40以上」となっているのですが、フロアタイルか無垢フローリングで、この規定をクリアできますか?
(港区・M様)
マンションの床のリフォームに関するご質問ですね。
インテリアコーディネーターの阿部容子がお答えします。
ポイント
マンションなどの集合住宅では、床のリフォームをする際に防音対策が欠かせませんね。 実際、私たちもマンションの音の問題で悩まれている方から、リフォームのご依頼をいただくことがあります。
和室の畳はある程度の防音性がありますが、フロアタイルや無垢フローリングは下地材などで防音対策をする必要があります。
ほとんどのマンションでは床の防音性能に「L-40」または「L-45」などの規定があります。 これは「L値」と呼ばれる遮音等級で、数字が小さいほど遮音性能が高くなるため、「L-40」は厳しめの規定と言えます。
マンションの中には、管理規約に「LL-40」または「LL-45」と書かれているところもあります。この「LL」は、物を落とした時などの軽い音に対する遮音性能を表しています。「L-40」と「LL-40」は同程度の性能です。
なお、子供が飛び跳ねた時のような重い音に対する遮音性能「LH」も定められていますが、こちらは床よりも建物全体の構造に左右されるため、管理規約で使われることはほとんどないと思われます。
L値については、日本複合・防音床材工業会のサイトで詳しく解説されています。
畳敷きの和室を、コルクタイルにリフォームしました。(練馬区・S様のリフォーム事例より)
マンションの床をリフォームする場合、フロアタイルも無垢フローリングも防音性能がないため、床用の下地材を施工する必要があります。
遮音下地材は各メーカーから発売されていて、LL-40対応、LL-45対応などの性能表示がされているので、マンションの規定に合うものを選ぶと良いでしょう。
なお、過去のリフォームでは、無垢フローリングの下地材として、L-40に対応した「わんぱく応援マット」を施工しました。 こちらの下地材について詳しくは、販売元のアトピッコハウスのサイトをご覧ください。
LL-40の規定に対応した遮音下地に、ベニヤを張ってから無垢フローリングを施工。(江東区・K様のリフォーム事例より)
ふだんマンションで生活していてもなかなか意識することはありませんが、マンションの床には2種類のタイプがあります。
1つ目が「直張り」。床のコンクリートに直接床材を張って仕上げます。下地材を使う場合は、コンクリートと床材の間に敷いていきます。防音性はコンクリートの厚さに比例します。
もう1つが「二重床」です。床のコンクリートの上に、脚のついた下地材を敷き、その上に床材を張って仕上げます。コンクリートと下地材の間に空間があるため、より防音性が高くなります。
リフォーム前の床が直張りで、コンクリートもそれほど厚くない場合は、リフォームの際に二重床にすることも可能です。ただし、管理規約で二重床へのリフォームが許可されていないこともあるのでご注意ください。
遮音フローリングの上に無垢のパイン材を張り、LL-45の規定をクリアしました。(江東区・I様のリフォーム事例より)
マンションの床をリフォームする時は、管理規約を遵守することはもちろんですが、いくつか注意点があります。
もともと下地材のないところに下地材を追加したり、厚みの違う下地材を使ったりすると、床の高さが変わります。 床の高さが変わると、廊下や他のお部屋と段差ができるだけでなく、ドアの開閉に支障が出ることもあります。
お部屋の状態をきちんと把握して、適切に施工することが重要です。可能であれば、同じマンションでの施工例が多いリフォーム業者に依頼するといいでしょう。
二重床は防音性を高めるのに有効ですが、「太鼓現象」が起こる場合があります。 通常、二重床ではコンクリートとフローリングの間に空間ができます。この空間に足音などが響いて、まるで太鼓のように反響してしまう現象です。
二重床のリフォームを行う際は、太鼓現象が起こらないように注意して施工しなければなりません。 遮音性のある素材を床下の空間に入れ込むなどの対策を取ることもあります。
二重床の空間に防音性のある断熱材を施工。音の問題を解決したリフォーム事例です。(新宿区・K様のリフォーム事例より)
ご質問のように、畳敷きの和室をフローリングにする場合も、床の高さに注意が必要です。マンションでは、戸建て住宅と同様に55mm~60mmの厚さがある畳、もしくは「薄畳」と呼ばれる15mm程度の厚さの畳が使われています。
一般的なフローリングの床材も15mm程度のため、畳の厚さによっては、床の高さが変わってしまうのです。 こうした場合は、下地材で高さを調整することになります。
また、稀に畳の下のコンクリートが平らではないことがあります。畳は比較的柔らかいため、コンクリートに多少の凸凹があっても気にならないのです。そのままフローリングを張ることはできないので、コンクリートを平らにする必要があります。
マンションの和室を洋室に変更するリフォームについては、下記のページにまとめています。あわせてご覧ください。
和室を二重床の無垢フローリングに。太鼓現象防止のため、防音効果のある断熱材を施工しました。(台東区・U様のリフォーム事例より)
リフォームが完了してから、「実は規定がクリアできていなかった」となったら大変です。 規定の数値を確実にクリアできるような素材選びをオススメします。 特に高い防音性が求められている場合は、事前によく準備した上でリフォームを進めた方がいいでしょう。
マンションの床を完璧に防音することは難しいですが、音の問題を軽減することは可能です。 マンションの構造や使われている素材によって、様々なケースが考えられるので、まずはマンションの管理組合で規約を確認してみましょう。
「エコリフォームのマンション」では、床の防音リフォームについて下記のページにまとめています。ぜひご覧ください。
L-40の規定をクリアして、ナラの無垢フローリングに。猫ちゃんの爪に耐える丈夫な素材です。(江東区・T様のリフォーム事例より)