TOP > リフォームお役立ち情報 > リフォームQ&A > 地震と建物 > 構造計算書がない木造3階建ての家ですが、耐震補強はできますか?
最終更新日:2021/03/30
木造3階建ての家を中古で購入して20年ほど住んでいますが、構造計算書がありません。
地震の時によく揺れるので、耐震補強をしようと思いましたが、構造計算書がないと耐震診断ができないと言われました。 構造計算書がなくても、耐震補強はできますか?
また、3階建ては2階建てよりも地震の危険度が高いのでしょうか?
(台東区・K様)
ポイント
建物を建てる際は、建築主が建築確認を受け、確認済証の交付を受けてから建築します。 木造3階建て住宅を建築する場合は、確認申請書に構造計算書を添付する義務があります。 これは建築基準法に定められている手続きです。
構造計算書とは、住宅の構造安全性を記載した書類です。 構造安全性は、柱や梁の強さ、耐力壁の耐震・耐風強度、床の剛性、偏心などを規定に従って計算することで算出されます。 A4用紙に印刷すると、200ページを超える膨大な書類になります。
通常、住宅を新築する場合は、施主に代わって設計事務所や建築業者が建築確認の申請を代行します。 建物が完成すると、第三者機関が申請通りの建物になっているかを確認し、施主に対して確認済証を発行します。 構造計算書を含む建築確認の書類は、確認済証と共に、施主の元にあるべき書類なのです。
しかし、中古住宅を購入した場合は、必ずしも建築確認の書類があるとは限りません。 現在流通している中古住宅の中には、こうした書類が整っていないものも多いのです。
木造3階建てのお住まいを耐震金物でしっかり補強しました。(豊島区・O様のリフォーム事例より)
耐震診断は、専用のソフトに建物の構造や基礎などの情報を入力することで、耐震性が数値化される仕組みになっています。
ご質問のように、構造計算書がない建物では、入力するべき建物の情報がわかりません。建物をスケルトン状態まで解体したとしても、すべてを把握することは非常に難しくなります。従って、耐震診断の結果を出すこともできないのです。
通常は、耐震診断の結果を受けて、適切な箇所に適切なボリュームの耐震補強を行い、耐震性がどの程度上がるかを明確に数値で表すことが可能です。 しかし、耐震診断を受けられない場合はこの限りではありません。
建物の耐震性を数値で表すことができなくても、耐震補強がまったくできないということではありません。
過去の事例では、ご質問と同じように構造計算書のない木造3階建ての建物に対して、木造住宅に詳しい建築士が建物の状態をできる限り把握した上で、耐震補強を行ったこともあります。
また、スケルトンリフォームのような大規模リフォームを計画している場合、建物の解体時により詳しく状態を把握し、より的確に耐震補強を行うことが可能です。
構造計算書のない木造3階建て住宅で、1階の駐車場を重点的に耐震補強しました。(大田区・H様のリフォーム事例より)
地震の際は、2階より3階部分がよく揺れますが、だからと言って地震に弱いわけではありません。 建物の耐震性を左右するのは、きちんと耐震設計を行い、計画通りに建築されたかどうかです。 また、経年による劣化度合いも耐震性に影響してきます。
木造3階建て住宅では構造計算書の提出が義務付けられているのに対し、木造2階建て住宅では免除されているため、中にはきちんと耐震設計されていない建物もあるかもしれません。
2階よりも3階が揺れやすいのは仕方のないところですが、揺れを軽減するには屋根を軽い材質のものに変えることが有効です。
また、建物の荷重を受ける1階部分を重点的に耐震補強することで、耐震性を上げることができますが、1階が駐車場になっている木造3階建て住宅は注意が必要です。 詳しくは下記のQ&Aをご覧ください。