TOP > リフォームお役立ち情報 > リフォームQ&A > 地震と建物 > 1階が駐車場になっている木造3階建て住宅は、地震に弱いですか?
最終更新日:2021/03/30
東京23区内で中古住宅を購入しようと考えています。
土地の値段が高いせいか、木造3階建ての住宅が多いように感じます。 車があるので、駐車場付きの家がいいと思い、1階が駐車場になっている木造3階建ての家を見つけました。
購入するか迷っているのですが、こういう建物は、やはり大きな地震には弱いのでしょうか?
(葛飾区・B様)
ポイント
こちらのQ&Aの内容は動画でもご覧いただけます。
確かに、東京23区内では、木造3階建ての建物を多く見かけます。 1987年に建築基準法が改正され、木造3階建てが多数建てられるようになりました。
木造3階建て住宅を建築する場合は、必ず構造計算書が必要となります。 現行の建築基準法に則った仕様で建てられていれば、問題ないと言えます。
しかし、現行の建築基準法が施行される以前に建てられた建物は注意が必要です。 建築基準法は改正ごとに基準が厳しくなっているため、いわゆる「既存不適格」の建物は、耐震性が不足している可能性もあります。
1階が駐車場の木造3階建て住宅です。柱と壁を新設し、仕口ダンパーを設置して補強しました。(大田区・H様のリフォーム事例より)
ご質問のように、都内では1階が駐車場になっている住宅も多く見られます。 敷地が狭いことから、1階の大部分が駐車場で、建物の前面が大きく開いている建物がほとんどです。 こうした建物は、耐震性が高いとは言えません。
木造の建物は、地震の揺れる力に対して、「壁」で対抗するように造られています。 1階が駐車場で大きな開口部になっている建物では、肝心の壁が足りていないので、地震に対して弱くなってしまうのです。
建物の状態にもよりますが、1階が駐車場になっている中古住宅を購入する際は、耐震補強を前提とされた方が良いでしょう。
1階部分の駐車場に、3種類の制震ダンパーを設置して補強しました。(世田谷区・T様のリフォーム事例より)
では、1階が駐車場になっている家のような、開口部の大きな建物は、どのように補強をすれば地震に強くなるのでしょうか。
建物によって補強方法は様々ですが、一番安全な方法は、壁がない開口部に壁を造ることです。 簡易的な壁ではなく、地震に耐える力を持つ「耐力壁」が必要です。
しかし当然のことながら、開口部に壁を造れば、駐車場としては使えなくなってしまいます。 ご質問のように、車をお持ちで駐車場を使いたいという場合は、他の補強方法を選択することになります。
1階が店舗で開口部が大きいため、「Jフレーム」と呼ばれる頑丈な枠を設置して補強しました。(台東区・I様のリフォーム事例より)
壁を造る以外の方法としてよく行われるのは、耐震金物を使った補強です。 エコリフォームでは、いくつかの事例で「仕口ダンパー」を採用しました。
仕口ダンパーは、「仕口」と呼ばれる柱と梁の接合部をしっかり補強して、大きな地震の時には、揺れを抑えることができる耐震金物です。
仕口ダンパーを駐車場入り口に設置することで、駐車場の開口部を、壁と同じくらいの強度にすることが可能です。 仕口ダンパーについては、リフォーム自然素材のページで詳しくご紹介しています。
また、仕口ダンパーに関連して、こちらのQ&Aもご参照ください。
2階建ての1階が駐車場になっている事例です。駐車場入り口に制震ダンパーを設置し、耐震性が上がりました。(江東区・S様のリフォーム事例より)
前述のように、1987年から多く建てられるようになった木造3階建て住宅ですが、施工会社にノウハウがなかったこともあり、当初は設計・施工のミスが多かったそうです。 その後、2005年の構造計算書偽造問題を受けて、2007年に建築基準法が改正され、木造3階建て住宅の確認申請手続きが厳格になりました。
それほど築年数が長くない、築15年~30年ほどの木造3階建て住宅の中には、もともとの設計や施工に問題があり、築年数以上に劣化している建物もあるので注意しましょう。
木造3階建て住宅に限りませんが、中古住宅を購入される時は、必要な図面が揃っているかどうか、構造計算書や確認申請書に不備がないか、しっかり確認することをオススメします。
1階が駐車場の木造3階建て住宅です。設計図面と異なる施工によって、耐震性が低くなっていました。(新宿区・Y様のリフォーム事例より)