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建物を倒壊から守る耐震補強金物 仕口ダンパー

最終更新日:2022/07/30

仕口(しくち)は、柱と梁の接合部のことです。

地震で建物が大きく揺れると、仕口にも大きな負荷がかかります。仕口が激しく変形した場合は、建物が倒壊することもあります。 仕口の強さが、木造住宅の耐震性に大きく関わってくるのです。

この仕口の耐震性をアップするのが「仕口ダンパー」です。

仕口ダンパーの仕組み

仕口ダンパーは、三角形または1/4円形の2枚の鋼板の間に、エネルギーを吸収する粘弾性体を挟み込んだ耐震補強金物です。

仕口ダンパーは、いくつかのメーカーから、鋳鉄製やステンレス製のものが発売されています。 中でも、仕口ダンパーを開発したカネソウ株式会社さんでは、鋳鉄製の仕口ダンパーのみを扱っているそうです。

仕口をしっかり補強します

仕口を補強するためにあまり強固に補強すると、地震のエネルギーが非常に大きかった場合は、逆に柱や梁を傷めることになります。

仕口ダンパーを使用すれば、粘弾性体が変形してエネルギーを吸収するため、鋼板には地震のエネルギーが伝わらず、変形することがありません。 このため、仕口の変形も最小で済み、しっかりと仕口を補強することができます。

地震の揺れを抑えます

地震などの揺れによって粘弾性体が変形し、地震のエネルギーを熱に変えて吸収します。

粘弾性体は以前から高層ビルの制震装置に使われていましたが、これまで木造住宅ではあまり使用されていませんでした。 近年では、粘弾性体のエネルギーを吸収する力が認められ、昔ながらの木造の建物でも多く使われるようになってきました。

仕口ダンパーは、地震の揺れを抑え、仕口を補強するという二重の効果で木造住宅を守ってくれるのです。

仕口ダンパーはここがスゴイ!

様々な建物の倒壊を防止

仕口ダンパーは、新築、リフォームを問わず、木造在来軸組み工法の建物なら、個人の住宅から寺社仏閣まで幅広い建物に使えます。 万が一大きな地震が起こった時にも、建物の変形を最小限に留め、揺れを早く抑えるので、耐震性能は格段に向上し、建物を倒壊から守ります。

壁がない面の強度を向上

壁がない面でも、仕口ダンパーによって、壁があるのと同程度の強度をもたせることが可能です。 大きな扉などの開口部に仕口ダンパーを設置すれば、その部分が耐震補強の設計上、壁があるのと同じことになり、耐震性もアップします。

メンテナンスフリー

仕口ダンパーは、正しい位置にしっかりと取り付けをすれば、以後のメンテナンスは必要ありません。 50年以上の間、仕口ダンパーの特性はほとんど損なわれないことが確認されています。

鋳鉄製の仕口ダンパーもオススメです

耐震補強に使われる金物は、どれも結構な大きさがあります。

仕口ダンパーも15cm角ほどの大きさがあり、鋼板がゴツゴツした印象なので、見える箇所に設置するとけっこう目立ちます。 そんなケースには、鋳鉄製の仕口ダンパー「QMタイプ」をオススメします。

金属を溶かして型に流し込んで造る鋳物の仕口ダンパーで、和風の落ち着いたデザインになっています。 カラーはつや消しのブラックで、グッドデザイン賞も受賞した優れもの。通常の仕口ダンパーよりコンパクトなのも魅力です。

こんなところに仕口ダンパー

仕口ダンパーは耐震補強には欠かせない金物となっていて、すでに全国で3000棟以上の施工実績があります。 寺社仏閣や歴史的な建築物の耐震補強にもよく使われています。

エコリフォームでは、倉庫のような大きな空間や、1階が駐車場になっているピロティ構造の建物の耐震補強によく採用しています。

また、窓やドアなどの開口部がいざという時の避難経路となる場合にも、仕口ダンパーで補強をしておくことがあります。

施工時の注意点

素晴らしい効果を発揮する仕口ダンパーですが、ただ付ければ良いというわけではありません。 木造住宅の構造に詳しい建築士の診断に基づき、耐震補強の計算上、正しい箇所に取り付けることで効力を発揮します。

また、仕口ダンパーは名前の通り、仕口部分に設置する必要があります。 ふつうの木造住宅では仕口は見えない状態になっているので、壁や天井を一部壊して設置しなければなりません。

仕口ダンパーの施工自体は簡単で、専用ネジで取り付けるだけですが、耐震補強に実績のある信頼できる工務店などに依頼した方がいいでしょう。

動画で仕口ダンパーをチェック

仕口ダンパー(模型)を付けた家と、付けていない家を揺らして、比較してみました。 耐震補強工事で実際に使われている仕口ダンパーもご覧いただけます。

耐震金物については、こちらもあわせてご確認ください。

参照:耐震金物のご紹介