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最終更新日:2019/05/25
現代では、断熱材が快適な住空間のために不可欠となっています。 家を断熱することで、心地よく暮らせるだけではなく、省エネルギーで生活できるようになります。
断熱リフォームのために様々な断熱材が使われていますが、ここではセルローズファイバーなどの自然素材から作られる断熱材と、断熱性のある建具をご紹介します。
熱は熱いところから冷たいところへ伝わる性質があります。 このため、しっかり断熱されていない家では、夏はどんなに室内を冷やしてもなかなか涼しくならないし、冬は温めた室内の空気がどんどん外へ逃げてしまうことになります。
そこで、室内と室外の間に断熱材を入れ、熱が移動しないようにするのが「断熱」です。 断熱をまったくしない場合は、約8割もの熱が移動してしまうそうです。
断熱材としていろいろな素材から作られた様々な製品が販売されています。 断熱材は熱の移動を妨げるため、中に空気をたっぷり含むことができる多孔質の構造をしています。
断熱材の種類は大きく3つに分けられます。
断熱性の違いはそれほど大きくありませんが、性能だけではなく、安全で環境に配慮された断熱材か、ということも考慮して選ぶことをおすすめします。
セルローズファイバーは、意外と古くから使われている自然素材の断熱材です。
1950年代のアメリカで開発され、原料には綿やおがくず、トウモロコシなども使われていました。 現在では主に古新聞を原料として作られる天然木質繊維に、難燃剤を添加して作られます。
セルローズファイバーは、アメリカでは35%のシェアがあるそうですが、日本ではまだそれほど使われていません。
エコリフォームでは、株式会社マツナガさんのセルローズファイバーをよく採用しています。
セルローズファイバーはフカフカした綿のような素材です。
壁や天井など、施工する箇所までホースを引き、大きな機械を使って吹き込みます。
天井に施工した場合は、写真のように綿が降り積もったような状態になり、隙間なく施工できるのが特長です。
また、壁に施工する場合は、シートで区切ったエリアに、セルローズファイバーをパンパンに吹き込む方法もあります。
セルローズファイバーは吹き込み式なので、新築にもリフォームにも使用でき、天井、壁、床など、どこにでも施工できます。 吹き込む機械を使用するため、施工のコストはかさみますが、断熱効果はピカイチです。
断熱性
断熱材を施工する際に隙間があると、断熱性は格段に低くなってしまいます。 セルローズファイバーは隙間なく施工できるので、断熱効果は非常に高くなります。
調湿性
セルローズファイバーの成分は木と同じです。 木造住宅の木が呼吸しているのと同じように、湿度を吸収したり放出したりする調湿性を持っています。 この高い調湿性は結露防止にも役立ちます。
防音性
しっかり施工されたセルローズファイバーは密度が高いので、優れた防音機能を発揮します。 ピアノ室にも使われるほどの防音性があるので、隣の部屋や上下階の音が響くのも軽減してくれますよ。
安全性
防燃処理がされているので、万一の火事でも安心です。1000度の炎でも表面が焦げるだけです。 セルローズファイバーは、体内に入っても安全な素材を使用していて、2003年の建築基準法改正によるシックハウス対策の基準をクリアしています。
ウールブレスは「ウール」の名の通り、原材料の70%以上が羊毛で作られている自然素材の断熱材の一つです。 株式会社アイティエヌジャパンさんが製造・販売しています。
羊毛はモコモコしていますが、これはウール繊維が縮れて複雑に絡み合っているからです。 このため、中に空気をたくさん蓄えることができます。 これは、羊が冬の寒さを乗り切るため、環境に適応した結果だと言われているそうですよ。
ウールブレスが断熱性に優れているのは、ウール繊維のおかげです。
ナチュラルに縮れているウール繊維は、60%もの空気を含むことができます。 この空気層が外気を遮断するので、高い断熱性が得られるのです。
しかも、ウールブレスはウールの層を何層も重ねた多層構造になっているので、層と層の間にもたっぷり空気を含むことができます。 この製法がウールブレスの断熱性を高める秘訣なのです。
ウール繊維はもともと調湿性のある素材です。 ウール繊維の表面は水を弾きますが、水蒸気は内部に浸透させるという性質を持っているのです。
湿度の高い夏は吸湿して、湿度の低い冬は放湿するため、ウール繊維は「生きている繊維」とも呼ばれるそうです。
ウールブレスは湿度を約55%に保ちます。湿度55%は、結露やカビ、ダニの発生を防ぎ、人にとっても快適な湿度です。
また、ウールの吸湿率は綿の約2倍、ポリエステルの約40倍と言われています。特に湿気が気になるお住まいに有効ですね。
ウールブレスは他にも、濡れてもすぐに乾く、音を吸収する、燃えにくいなどのメリットがあります。
羊毛なので虫が心配になるかもしれませんが、岩塩由来の防虫剤を使用しているので、安心・安全な上に耐久性も高くなっています。
また、ウールブレスはホルムアルデヒドなどの有害物質を放出することはありません。 それどころか、空気中の有害物質や悪臭を吸着する性質があるのです。
他の断熱材よりコストはかかりますが、ウールブレスはメリットの多い断熱材の一つです。 カーペット工場で出る短いウール繊維をリサイクルして作られた、環境に優しいリサイクルタイプの製品も選ぶことができます。。
コルクと聞くとワインの栓を思い浮かべる方が多いかもしれません。 エコリフォームでは床によくコルクタイルを採用していますが、コルクの使い道はこれだけではありません。
実は、コルクは断熱材としても優秀な素材なのです。
コルクはコルク樫の樹皮から作られます。 コルク樫は生命力が強く、樹皮を剥いでも数年で再生し、伐採・植樹の必要もないため、エコな自然素材として知られています。
コルク樫を育てて、初めて剥がした樹皮を「バージンコルク」と言いますが、表面がデコボコしているため、加工製品には適さないのです。 通常は廃棄されてしまうバージンコルクを使って作られるのが炭化コルクです。 他に、ワインの栓にするコルクの残りも使われるそうです。リサイクル素材を使ったエコな断熱材ですね。
まず、バージンコルクを大きな金型に入れ、高温で蒸し焼きにします。
これをブロックの形に固めるのですが、この時、接着剤は一切使わず、コルクの樹脂成分のみで固めます。 炭化コルクは100%天然コルクで出来ているのです。
焼き上がったコルクを冷やしてカットすれば、炭化コルクの完成です。
炭化コルクは、炭とコルクの両方の性質を活かした断熱材です。
コルクはもともと断熱性の高い素材ですが、炭化させることで断熱性をさらに強化することができます。炭化コルクは熱伝導率も極めて低く、熱を伝えません。 調湿性もあり、防音性、防虫性、防火性も高いなど、炭化コルクも非常に優秀な断熱材ですが、価格は比較的高価です。
炭の効果で身体に有害なホルムアルデヒドや悪臭を吸着するので、アレルギーやシックハウス症候群が心配という方におすすめします。
玄関や窓など、家の開口部から出入りする熱はかなりの量になります。 開口部の多い家では、「断熱材をたっぷり使ってもまだ寒い・・・」ということがあるかもしれません。
そんな時は、断熱材にプラスして、断熱性の高い建具を採用するのがオススメです。
断熱玄関ドアは一般的なドアよりも厚く、40~60mmほどの厚さがあります。 ドア内部にはウレタンなどの断熱材が挟み込まれていて、ドア枠も樹脂などでさらに断熱性が強化されているタイプも販売されています。 ガラスが付いた玄関ドアの場合は、ふつうのガラスではなく、ペアガラスが使われているものがほとんどです。
断熱玄関ドアを採用して、玄関まわりの寒さが解消されたという声も聞かれるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。 断熱玄関ドアは、通常のドアに比べて比較的重いため、実際に試して使い勝手を確認した方がいいでしょう。
国土交通省は、次世代省エネルギー基準で、どの地域にどのくらいの断熱性が必要かを示しています。 断熱性はK値と呼ばれる熱貫流率で表され、K値が小さいほど断熱性が高いということになります。 地域は平成25年の改正によって、6つに分けられていた地域が8つに分類され、地域ごとの基準が定められました。
例えば、冬の寒さが厳しい北海道では、K値が2程度と、かなり断熱性の高い玄関ドアが必要です。 東京は温暖なため、K値が4程度の玄関ドアでも、十分な断熱効果が得られます。
東京で非常に高断熱な玄関ドアを設置する必要はないということです。断熱玄関ドアは、お住まいの地域に合わせて選ぶといいでしょう。
玄関のリフォームについては、こちらもご参照ください。
ここでは自然素材の断熱材をご紹介しましたが、自然素材ではなくても、環境に配慮した人と自然に優しい断熱材が開発されています。 下記のページもあわせてご覧ください。
エコリフォームでは、自然素材の断熱材の中でも、セルローズファイバーをよく採用しています。 実際にセルローズファイバーを施工している様子をご紹介します。