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最終更新日:2021/09/27(2018/12/03公開)
雪が降らない地域ではロマンチックなイメージの雪。
でも雪国の人にとって、雪は生活の一部であり、
ときには厄介者扱いされる存在です。
大量に降り続く雪とうまくつきあうために、雪国ではさまざまな工夫が編み出されてきました。
今回は雪国の暮らしの知恵についてご紹介します。
雪国はここ、という明確な区分はありませんが、国が指定している豪雪地帯というくくりで見てみると、北海道、東北、北陸などを中心とした地域がそれにあたるようです。
実は関東でも、奥日光(栃木県)や草津(群馬県)などが豪雪地帯に指定されています。スキー場で有名な白馬(長野県)や、雪の白川郷で知られる白川(岐阜県)などは、特に雪が多い特別豪雪地帯に指定されています。
屋根に降り積もった大量の雪をそのままにしておくと、家が崩れてしまう危険性があります。また、外の激しい冷気が家の中にダイレクトに入ることも避けなければなりません。
人の命を守るため、雪国の家にはさまざまな工夫が施されているのです。
屋根の傾斜を急にすることで、雪が屋根に降り積もる前に自然にすべり落ちていきます。1階は暗くてもあまり困らない車庫や物置にして、2階に玄関やリビング、3階に個室をつくるなど、3階建てにするのが一般的だそうです。
屋根をあたためたり水をまいたりして雪を溶かすのが融雪式住宅です。不凍液や温水、ヒーターで屋根をあたためる放熱式や、水をまいて雪を融かす散水式、室内からあたたかい空気を送り込む温風式などがあります。
家の周りに柱を立てて板などで覆い、雪から守ることを雪囲いといいます。屋根から滑り落ちてきた雪や、雪下ろしで捨てた雪によって窓が割れないよう、窓の外には横板を並べます。庭木も雪の重みで折れないように、ワラや縄などを使って雪囲いします。
家の中が寒くなる大きな原因は、窓から入ってくる冷気です。その冷気をなるべく家に入れないようにするため、二重窓にしています。二重にするとガラスとガラスの間に空気の層ができるので、外の寒さが家の中まで伝わりにくくなります。
直径12㎝ほどある太い柱を使ったり、柱の数を増やしたり、壁を厚くするなどして、雪の重みに押しつぶされない頑丈な家にしています。3mまで積もった雪にも耐える非常に頑丈な家は「耐雪(たいせつ)式住宅」とも呼ばれます。
雪国では暖房のために大量の灯油を使います。ポリタンクでは足りないので、500リットル近い灯油が入る灯油タンクを家に設置します。灯油タンクは各部屋のファンヒーターとつながっていて、給油の手間がかかりません。
雪が積もった道路は、歩くのも車を走らせるのも大変です。雪国では道路にどんな工夫をしているのでしょうか。
道路に埋め込んだパイプから、路上に設置したノズルを通して地下水を出すことで、雪を溶かし道路が凍るのを防ぎます。
道路の表面にヒーター線を埋め込むことにより、熱で道路をあたためて、雪が積もらないようにします。
道路が雪で覆われてしまうと道幅がわからなくなってしまいます。そんなときは道路の端に立ててある表示器が頼りになります。
タイヤチェーンを付けずに走っていて、急に雪が降り出したときは、道路上にあるチェーン着脱用の待機所を利用できます。
都内でよくみかける信号機は横型ですが、横型は雪が積もりやすく、積もった雪が落ちてくる危険性もあります。雪国では、雪が積もりにくい縦型の信号機が活躍しています。
雪が深いと、買い物などでちょっと外に出るのもひと苦労。車がなかった時代はなおさら大変だったでしょう。そこで、雪国ならではの食品保存の知恵が生まれました。
雪国はその美しさから観光地としても高い人気を誇っています。
ちなみに川端康成の有名な小説『雪国』の主な舞台は新潟県湯沢町。冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」のトンネルはJR上越線の清水トンネルだそうです。
小説に登場するスポットを探しに出かけてみたいですね。