TOP > リフォームお役立ち情報 > 住まいと暮らしのお役立ち > リフォームのヒント > 窓ガラス今昔物語
最終更新日:2021/08/23(2013/08/24公開)
歴史的な建築物で見られる窓ガラスは素敵で印象的ですね。
窓ガラスは現代の建築にも欠かせないものとなっています。
古いものから新しいものまで、窓ガラスについてのお話です。
日光に行った際に立ち寄った、国の重要文化財「日光田母沢御用邸」。建物の窓に使われているガラスが、とても素敵で印象的でした。
明治32年の建築当初に作られた「手延べの板ガラス」がそのまま残っています。 少し歪んだ窓ガラスを通して見る庭の木々は、まるで湖面に写った景色のようで、ノスタルジーを感じました。
「手延べ」という名前の通り、職人さんが手作りしたガラスで、歴史的な建物などで目にする、ゆらゆらした表面のガラスです。
機械での大量生産品が主流になった現在では、既に職人さんが存在しておらず、手延べガラスを再現することは不可能なのだそうです。
手延べガラスの製法はなかなかユニークです。
まずはガラスを吹いて長細く膨らませてから、両端を切断し、円筒のガラスを成型します。 このガラスをいったん冷ましてから、真ん中に切れ目を入れ、再加熱して切れ目を開き、板状のガラスにするのです。
表面には凹凸が残り、独特の風合いとなります。現代の大量生産のガラスとは、まったく異なるものです。
相当な熟練技が必要だったという板ガラスですが、今は作ることができないため、割れてしまったらそれでおしまいです。 そんなことを思うと、なんだか愛おしく感じます。
さて、現代の窓ガラスはどうでしょうか。
機械製品のガラスでは、手延べガラスのような風合いは再現できないものの、様々な工夫を凝らした窓ガラスが生産されています。
最もポピュラーで一般的なのが、フロートガラス。窓ガラスに使われている透明なガラスです。
フロートガラスは一枚だけでは透明ですが、何枚か重ねたり、角度をつけると、切り口は緑色に見えます。
厚みが2~19mmと豊富で、一般的な住宅用の窓ガラスには、3~6mmの厚さのものが多く使われています。 3mmより薄いガラスは、台風の風などに耐えられず割れてしまいます。
板ガラスの表面に研磨剤で細かい傷を付け、光を散乱させて、不透明にしたガラスです。 くもりガラス、つや消しガラスとも呼ばれます。
すり加工をした表面は、汚れが付きやすいのが難点ですが、光をやわらかく通します。
見られたくない箇所に使われますが、近年ではより優れた製品が出ていることから、生産量が減少しています。
型に流し込んで、表面を凸凹させることで、不透明さを出したガラスです。
表面の凸凹の効果で光が乱反射して、外から中が見えにくくなります。 また、室内に入った光が拡散し、明るく感じられるメリットもあります。
見られたくない箇所に使われるガラスとしては、すりガラスよりも型ガラスの方が多く使われています。
線入りガラス、ワイヤー入りガラスとも呼ばれる、金網が封入されたガラスで、火災時の飛散防止を目的としています。
建築基準法の規定で、防火地域・準防火地域では網入りガラスを使用する決まりがあります。
ワイヤーが目に見えることから、防犯性が高いと思われる方もいますが、それは誤解です。 ガラス自体は普通のもので、強度は変わらないのでご注意ください。
近年、窓ガラスは進化して、ますます高性能になっています。
断熱効果や、UVカット効果、結露を抑える効果などのある窓ガラスが次々と登場しました。
ペアガラスは2枚のガラスを合わせたもので、間に少し隙間が開いており、ガラスとガラスの間に空気層ができるため、断熱性が高くなっています。
凹凸のある型ガラスを使ったペアガラスもあります。
厚さが12mmほどになるため、リフォームでは窓ガラスのみの交換ができず、サッシごとの交換が必要になります。
https://example.eco-inc.co.jp/2021/02/building.php
断熱や遮熱の性能がある特殊な金属膜をコーティングしたガラスを、Low-E(ローイー)ガラスと呼びます。
1枚でも使われますが、ペアガラスに使用すると、より効果大! 通常のペアガラスより、更に断熱性、遮熱性が上がります。
マンションでは窓サッシの交換が難しいため、リフォームの際にインナーサッシを取り付けることが多いですが、インナーサッシにLow-Eガラスを採用することで高い効果を得ることができます。
インナーサッシについて詳しくは下記をご覧ください。
2枚のガラスを合わせるのはペアガラスと似ていますが、真空ガラスでは、ガラスとガラスの間に真空の空間を作ります。
真空の空間には、Low-E膜がコーティングされていて、Low-Eを使ったペアガラスより、さらに断熱制、遮熱性が高くなっています。
ガラスの厚みも6mmほどなので、窓サッシはそのまま、窓ガラスだけ交換できるのもうれしいメリットです。
詳しくは下記を参考にしてくださいね。
https://example.eco-inc.co.jp/2021/03/kiyosumi.php
家の性能を上げるという点では、近年のガラスは素晴らしく高性能です。
しかし、昔ながらのレトロなガラスの風合いも、無くしてしまうには惜しいものがありますね。
実際に暮らす家では難しいかもしれませんが、文化財などの建物では、レトロな窓ガラスが大切に保存されていったらいいなと思います。