TOP > リフォームお役立ち情報 > リフォームQ&A > 地震と建物 > 2階建てを平屋に減築すると、耐震性は上がりますか?
最終更新日:2021/07/02
築50年近い2階建ての木造住宅に住んでいます。
子供たちが独立してから、2階をあまり使っていなくてもったいないので、減築をして平屋にしようかと思っています。
平屋の方が地震に対しても安心と聞きました。やはり平屋の方が耐震性は高いのでしょうか?
(墨田区・M様)
ポイント
「子供が独立したから、2階の部屋が空いてしまっている」
「これから年齢を重ねると、階段を上るのが億劫になる」
こうした理由で、減築のご相談をいただくことがあります。
ご家族の形やライフスタイルの変化に合わせ、2階建てから平屋へ減築リフォームすることで、より暮らしやすい家になることも多いのではないでしょうか。
老後の理想の住まいについてのアンケート結果では、「平屋」との回答がもっとも多かったそうです。
平屋のお住まいは、階段の上り下りが不要で、ワンフロアで生活できるのが何よりのメリットです。 高齢になるとどうしても足腰は弱ってくるので、階段を使う必要がない家の方が、楽に過ごせることは確かです。 平屋の方が日当たりや通風がよくなる場合もあります。
スケルトンリフォームで3階部分を減築し、耐震性の高い建物になりました。(台東区・S様のリフォーム事例より)
細い棒の頭に重りが付いているのを想像してみてください。 重りが重いと、左右に大きく揺れてなかなか止まりません。重りが軽いと、揺れ幅も時間も軽くなります。
同じように、上の方が重い建物ほど、地震の揺れの影響は大きくなります。 2階建てから平屋に減築することで、上の方が軽くなるため、地震の揺れの影響を受けにくくなります。 このため、一般的に、2階建てよりも平屋の方が耐震性は高いと言えます。
上の方が重いと、揺れ幅は大きく、長く揺れます。上の方が軽いと、揺れ幅は小さく、揺れる時間も短くなります。
ただし、築年数が長い建物では、水もれやシロアリ被害によって、建物の構造部分がダメージを受けていることも多く、平屋に減築したとしても、耐震性はそれほど変わらないということも考えられます。
地震への備えを十分にするためには、減築工事に加えて、耐震補強工事を行う必要があるかもしれません。
2階建てから平屋へ減築リフォームするデメリットは、費用がかなりかかるということです。
減築の際は、建物の2階部分をスパッと切れるわけではないので、2階部分を慎重に解体し、新たに屋根をかけかえる必要があります。
また、追加で耐震補強工事が必要になることもあれば、断熱工事をしなければ快適に暮らせないこともあります。 2階がなくなることで、1階の間取りを変更しなければならないかもしれません。
結果として、家を建て直すのと変わらないくらいの費用になってしまう、というケースも十分考えられるのです。
以前に増築された部分を減築してバランスの良い建物に。耐震性も上がりました。(江東区・K様のリフォーム事例より)
耐震性を上げるためには、上の方が軽い建物にすればいいわけですから、屋根を葺き替えるのも一つの方法です。 建物の状態にもよりますが、減築リフォームよりも、費用が抑えられる可能性もあります。
築50年、築60年というお住まいでは、瓦屋根が一般的だと思います。 瓦屋根は断熱性に優れているなどのメリットもありますが、非常に重いのがデメリットです。
現在はスレートやアスファルトシングルなど、軽くて丈夫な屋根材が普及しています。 瓦屋根を軽い屋根材に変更するだけでも、耐震性をいくらか上げることができます。
1階部分に耐震補強を行い、屋根を葺き替えることで地震に強い家に。(荒川区・S様のリフォーム事例より)
重い屋根材を使った屋根と軽い屋根材を使った屋根で、耐震性にどのような違いがあるのでしょうか。 詳しくは下記の動画で説明しています。
これから先も何十年もお暮らしになりたいのであれば、思い切って大規模な工事をされるのも良いでしょう。 それほど長く住む予定がないなら、減築はしないで屋根の葺き替えに留める方がいいかもしれません。
これから先、どのくらいの期間安全に暮らしたいかによって、必要な工事も費用も変わってきます。 費用対効果を考えて、減築されるかどうか計画しましょう。
また、2階部分を軽くするために、ピアノのように重い物が2階にある場合は1階に移動する、2階の荷物をなるべく減らす、といった対策も効果があります。 もし使われていない2階が物置代わりになっているようでしたら、まずは物を減らすことから始めてみてはいかがでしょうか。