TOP > リフォームお役立ち情報 > リフォームQ&A > リフォーム全般 > 階段リフォームで、段数や勾配を変えることはできますか?
最終更新日:2021/10/05
築50年近くになる狭小住宅に住んでいます。
スペースがないため、階段の勾配が急で、一段一段も高いので、上り下りが恐いです。 年をとった両親も、階段の上り下りがつらいと嘆いています。
階段リフォームをして、段数を変えたり勾配をゆるやかにしたりできるのでしょうか? 階段リフォームの費用についても教えてください。
(中央区・K様)
ポイント
都内の住宅密集地では、スペースに余裕がない分、階段が急な建物が珍しくありません。 特にご高齢の方は転落事故の危険があるので、急な階段は避けたいものですね。 エコリフォームのお客様にも「階段の勾配を何とかしたい」という方がたくさんいらっしゃいます。
階段の段数を変えたり、急な階段の勾配をゆるやかにするリフォームは可能ですが、工事としては難しいものとなることをご承知おきください。
階段の架け替えは、柱や梁など、建物の構造部分に深くかかわる工事になるため、様々な条件を考慮する必要があるのです。 このため、私たちが階段を架け替える場合は、スケルトンリフォームなどの大規模な工事とあわせて行うことがほとんどです。
スケルトンリフォームで階段の位置を大きく変更しました。(渋谷区・K様のリフォーム事例より)
階段をリフォームする際、考慮した方が良い条件を具体的にご紹介します。
まず、階段の勾配をゆるやかにするためには、階段の位置を変更するか、形状を変更する必要がでてきます。 多くの狭小住宅ではもともと空間に余裕がないため、階段の位置はそのままだとしても、階段スペースを広げなければ、ゆるやかな階段を実現できないのです。
構造上、階段を上った先は、吹き抜けになっています。階段に合わせて、吹き抜けも移動、拡張工事が必要になります。 吹き抜けの工事をする際は、2階の床下にある梁が邪魔になることも多く、建物の強度が落ちないよう、梁を補強したり組み換えたりしなければなりません。
このように、階段のリフォームは階段のみの工事にとどまらず、吹き抜けなどの周辺箇所も解体、補強するため、大規模な工事になってしまうのです。
向きを変えてゆるやかに架け替えた階段。(台東区・S様のリフォーム事例より)
階段をゆるやかに架け替えることで、安全に上り下りできるようになります。 では、どのくらいの勾配なら、ゆるやかな階段と言えるのでしょうか?
一般的な住宅の階段は、45度くらいの勾配が多くなっています。狭小住宅ではスペースを取るのが難しいですが、勾配が45度程度なら安全と言えるでしょう。
また、「踏面」と呼ばれる足を乗せる面の奥行きも、上り下りのしやすさに影響してきます。建築基準法では15cm以上であれば問題ありませんが、実際には30cm程度あった方が安心できる階段になります。
踏面と蹴上(一段の高さ)の違いで、階段の勾配も変わります。
ちなみに、建築基準法上の最小サイズで造られた階段は、勾配が約57度とたいへん急なものです。古い家の階段が急なのも当然かもしれません。安全な階段について、さらに詳しくは「リフォーム費用とポイント」のページをご覧ください。
杉材とチーク材でインテリアとしても素敵な階段にリフォームした例を動画でご紹介します。踏面も広く、勾配もゆるやかになっています。(荒川区・O様のリフォーム事例より)
具体的な階段リフォームの例をご紹介します。中央区のC様邸は築50年のお住まいです。
昔の建物はお部屋を広くすることを優先させていたことから、狭くてかなり急な階段でした。 リフォームで15cmしかなかった踏面を20cmに、段数も12段から13段に増やした結果、階段スペースは180cmから270cmと、1.5倍になりました。踏面を広げたり、段数を増やすことで、階段スペースに大きな差が出てくるのです。
リフォーム前後で、階段スペースが1.5倍に。(中央区・C様のリフォーム事例より)
階段に必要なスペースが増えると、居住スペースが圧迫されてしまいます。 そこで、階段下のスペースを活用することをおすすめします。
階段下収納も、背の高い収納や、奥行きのある小さめの収納など、様々なサイズが考えられます。 収納扉や収納の形を工夫することで、より使いやすくなったりします。
他にも、猫ちゃんのトイレスペースにしたり、洗濯機置場にしたりと、アイデアはいろいろ。下記のページもご参照ください。
階段を架け替える際の費用は、建物の条件と、階段にどの程度変更を加えるかによって大きく変わってきます。 階段を見ただけで簡単にお見積りをすることは難しい、というのが正直なところです。
リフォーム工事の規模によって全体の費用は異なります。概算では、木造2階建ての建物をスケルトンリフォームする場合、階段のみにかかる費用はおおよそ60~80万円となります(解体費用は除く)。
階段のリフォームをお考えの方は、まずどんなリフォームが可能か、どんな工事が必要かを確認されると良いでしょう。工務店やリフォーム業者に相談することをオススメします。
なお、実際の階段リフォームの工事の様子は、下記でご覧いただけます。
位置を変え、途中で曲がる形状に変更した階段。(文京区・N様のリフォーム事例より)
エコリフォームのリフォーム事例から、階段リフォームを行った事例をご紹介します。
狭小住宅ですが、階段の向きを変えることで階段をゆるやかにできました。 (中央区・A様のリフォーム事例より)
水まわりを広く取るために階段を移動。ゆるやかで手すりもついた安全な階段になりました。 (中央区・K様のリフォーム事例より)
無垢の集成材を使って造作した階段です。リフォーム前よりかなりゆるやかな勾配に。 (江東区・Y様のリフォーム事例より)
階段の段数はそのまま、スペースを広げて傾斜をゆるやかに。踏み面も広くなりました。 (江東区・E様のリフォーム事例より)
シニア世代のお客様のために、上り下りしやすい階段に架け替えました。 (豊島区・O様のリフォーム事例より)
昔ながらの急な階段をゆるやかに架け替えて、上り下りしやすく安全になりました。 (荒川区・S様のリフォーム事例より)