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珪藻土と珪藻土塗料、珪藻土クロス

最終更新日:2023/09/05

近年、塗り壁の性能やインテリア性の高さが見直されるようになってきました。 それと同時に珪藻土の認知度が増し、珪藻土の塗り壁も人気が高まっています。 リフォームでも、お部屋の壁や外壁に、珪藻土を採用される方が増えているようです。

珪藻土を使った塗り壁用の製品と、珪藻土の壁紙・珪藻土クロスをご紹介します。

北のやすらぎ

珪藻土の塗り壁材として、様々な製品が販売されています。

この「北のやすらぎ」は、北海道生まれの珪藻土塗り壁材。 日本システム機器株式会社さんが、北海道大学との共同研究で開発しました。

北のやすらぎが、他の珪藻土塗り壁材と大きく違うのは、北海道産の稚内層珪藻頁岩を主原料としているところです。

稚内層珪藻頁岩(北海道庁特許)は、珪藻土が岩石化したもので、珪藻土の性質をそのまま受け継いでいます。 そればかりか、吸放湿性や消臭性は通常の珪藻土よりも高く、常に室内の湿度を60%程度に調整する能力を持っているのです。

健康な室内を創造したいという願いから生まれた北のやすらぎには、着色料から接着剤に至るまで、すべて自然素材が使われています。

安全で安心な、最高級の珪藻土塗り壁材と言えます。

MPパウダー

株式会社ユーディーさんが開発したMPパウダーも、珪藻土の塗り壁材の一つです。

MPパウダーの特長は、何と言っても「メソポア珪藻土100%」だということです。 結合剤である自然糊と古紙再生パルプ以外を除き、すべてメソポア珪藻土から作られた塗り壁材なのです。

メソポア珪藻土とは?

珪藻土の表面には、「ポア」と呼ばれる無数の細孔が空いています。 珪藻土の産地などによってポアのサイズは異なり、一般的な珪藻土には「マクロポア」と呼ばれる50nm以上のポアが空いています。 マクロポアは、小さいポアと比較して、調湿性が低くなっています。

炭の表面にも珪藻土と同じようにポアがありますが、「ミクロポア」と呼ばれる2nm以下のポアです。 ミクロポアの吸湿性はいいのですが、小さすぎるために放湿性はあまりよくありません。

マクロポアとミクロポアの間、2~50nmのポアが「メソポア」と呼ばれ、メソポア珪藻土はこのメソポアを持っています。 メソポアは大きすぎず、小さすぎない、ちょうどいい大きさです。吸湿性、放湿性のどちらも良好で、湿度を快適に保ちます。

名称サイズ吸湿性放湿性
マクロポア50nm以上低い低い
ミクロポア2nm以下高い低い
メソポア2~50nm高い高い

メソポアの優れた作用

  • 調湿性が高く、結露やカビ・ダニの発生を予防し、過乾燥を抑制します。
  • 悪臭や有害な化学物質を吸着して、室内の空気を浄化します。
  • 断熱性があるため、夏は涼しく冬は暖かな環境を省エネルギーで実現します。
  • 土や石と同じ主成分のため不燃性で、耐火性に優れています。
  • 廃棄時には土に還すことができる、環境に配慮された素材です。

MPパウダーは上記のような優れた性能を持つだけではなく、インテリアとしても、塗り壁特有の風合いが素敵な素材です。 メソポア珪藻土の含有量を減らして、カラーバリエーションを増やしたシリーズも販売されています。

塗り壁材の注意点

MPパウダーに限らず、塗り壁材には施工上の注意点があります。 事前にサンプルをよくご確認いただくことをオススメしています。

  • 自然素材のため、壁に硬いものが当たるとキズがつき、粉がでます。
  • クロスやペンキ仕上げに比べると、微細なクラックが入ったり、木枠などと塗り壁の間に隙間ができることがあります。
  • 塗り壁は手作業で仕上げるため、パターンや色は必ずしも均一には仕上がりません。

珪藻土塗料

珪藻土は高い保温性と吸放湿を生かして、塗り壁用の壁土として利用されてきました。 近年ではさらに、自然塗料となる「珪藻土塗料」も開発されています。

珪藻土をより手軽に楽しめるよう、塗料にして施工しやすくしたものです。

珪藻土塗料はすでに練ってあるので、水を加えて混ぜる必要もなく、コテではなく、水性のハケや短毛ローラーで簡単に塗ることが出来ます。

クロスやボード、紙など、どんな素材の壁にも塗ることが可能です。 「予算が少ないから、今のビニールクロスの上に珪藻土塗料を塗って、快適性をアップさせよう」なんてこともできちゃいますよ。

珪藻土塗料の魅力

珪藻土塗料の魅力は、何と言っても空気の浄化作用が一番です。 有害な化学物質を吸着するほか、消臭性にも優れているため、学校や老人ホーム、病院などでも多く使用されています。

もちろん、珪藻土と同じように調湿性も高いので、一般家庭のお部屋を快適な湿度に保って、結露やカビも予防してくれますよ。 実験では、湿度が80%を超えている部屋に珪藻土塗料を塗装したところ、湿度が50%に下がったそうです。 湿気がこもりがちな押入れなどに塗るのも有効です。

 

珪藻土について詳しくはこちらをご覧ください。珪藻土のお手入れ方法もご紹介しています。

参照:珪藻土の塗り壁とメンテナンス方法

 

珪藻土クロス

珪藻土クロスとは、珪藻土を使った壁紙のことです。 珪藻土の塗り壁は手間がかかる分、費用が割高になりますが、「それでも予算内でなんとか珪藻土の良さを取り入れたい」というご要望に応え、壁紙メーカーによって「珪藻土クロス」が開発されました。

珪藻土とは?

珪藻土は、太古の植物プランクトン、珪藻(けいそう)が堆積して土になったものです。 珪藻の殻の成分、二酸化ケイ素が珪藻土の主成分です。

珪藻土にある無数の孔が呼吸することで、湿度を調整します。湿度が高いときは湿気を吸収し、乾燥している時は湿気を放出しているのです。

珪藻土の孔は、空気中の悪臭成分を吸着する消臭効果もあり、有害な化学物質も吸着すると言われています。

珪藻土は私たちの暮らしに最適な、優れた自然素材です。

通常、壁に珪藻土を使う場合は、左官の職人さんに塗り壁で仕上げてもらうことになります。 クロス仕上げに比べて手間がかかって費用が割高になるため、予算に合わないと珪藻土仕上げを断念される方もいらっしゃいます。

珪藻土クロスとは?

珪藻土クロスは、珪藻土を使った壁紙のことです。

性能は壁紙のメーカーによって異なりますが、吸放湿性や消臭性に加え、防カビ性や防汚性を謳っている製品もあります。

珪藻土クロスの原料は、紙と珪藻土のみのため、万が一の火災の際にも、有毒なガスが発生する心配はほとんどありません。 また、ビニールクロスに比べて、味わいのある風合いが楽しめるのも特長です。

珪藻土クロスの注意点

珪藻土は自然の紙と珪藻土からできているので、水拭きするとシミが残ったり、表面が剥がれたりすることがあります。 普段のお手入れはホコリをはたく程度に留め、手垢などが付いた時には消しゴムで軽くこすると、汚れが薄れます。

小さなお子様がいるお宅や、水がかかる場所への施工は控えた方が良いでしょう。 施工面では、珪藻土クロスの性質から、つなぎ目の部分が目立ったり、隙間が出来やすい傾向があります。

また、珪藻土クロスには消臭効果も期待できますが、あまり悪臭成分が多すぎると許容量を超えてしまい、 効果が薄れる場合があるようです。

こうしたメリット・デメリットをよく比較して選ばれるとよいでしょう。

アースウォール

珪藻土を使ったクロスの一つ、東リさんの「アースウォール」をご紹介します。

住まいの安全性や快適性を求める人の間で、特に注目度の高い自然素材、珪藻土。 この珪藻土を効果的に使用した壁紙が「アースウォール」です。

アースウォールは、多層構造になっている一番上の表層紙に珪藻土を漉き込んである壁紙です。

「呼吸する壁紙」として、調湿性と吸放湿性を発揮し、室内の湿度を快適な状態に保ちます。 結露やカビが心配な地域では、特に嬉しい性能ですね。

また、消臭性能にも優れ、タバコ臭やアンモニア臭、生ゴミ臭など、家庭にこもりがちな嫌なニオイを吸着し、室内の空気を爽やかに保つことができます。

紙と珪藻土が作り出す自然素材、珪藻土クロスで、快適で落ち着きのある空間を楽しんでみてはいかがですか?

参照:珪藻土の塗り壁とメンテナンス方法

珪藻土クロスを採用されたリフォーム事例

赤ちゃんのため、2階の和室に珪藻土クロスを採用しました。淡いクリーム色の柔らかいお部屋になりました。