TOP > リフォームお役立ち情報 > リフォーム自然素材 > 和紙壁紙(玉紙・土佐和紙・柿渋和紙・漆和紙)
最終更新日:2023/09/05
日本古来の紙、和紙は建築の素材としても使われています。 襖紙や障子紙、壁紙として使われることが多いですが、意外なところでは、照明のシェードやプリーツスクリーンなどにも使用されます。 ここでは、和紙を使った壁紙をご紹介します。
日本では平安時代から和紙が使われ、紙作りが盛んに行われてきました。 和紙の主原料は、植物の表皮のすぐ内側にある、柔らかい内皮です。 楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、雁皮(がんび)などの植物が和紙作りに使われます。
和紙づくりには手間暇がかかるため、和紙の需要は徐々に減っていましたが、近年は機械漉きの和紙が開発され、ご自宅に取り入れる方も増えています。
和紙に描かれた作品が1000年以上経っても残されているように、和紙はとても長持ちで丈夫です。 また、和紙には調湿性があり、湿気の多い日本の風土に適した素材です。 だから古くから日本家屋に和紙が使われてきたのですね。
確かに見た目はキレイだけど、単なる紙でしょ?と思ったら大間違い。和紙って、実はこんなに優秀なんです。
調湿性・脱臭効果がある
和紙には、湿度が高いと湿気を吸収し、乾燥すると発散させる吸放湿性があるので、結露やカビの心配はありません。あわせて、アンモニア等を吸収する脱臭効果もあります。
人にも環境にも優しい
和紙は自然素材なので、化学物質を使っていない上、燃やしても有毒ガスなどが発生しません。また、和紙壁紙には、気持ちを落ち着かせる鎮静効果もあることがわかってきています。
マンションのリフォームでも、和紙はオススメの素材です。 ビニルクロスから和紙に張り替えると、マンションでも調湿性を活かせるほか、やわらかで美しい風合いを味わうことができます。
和紙をリフォームに用いる場合、和室への使用をイメージされるかもしれませんが、意外にも洋室に和紙壁紙を張る方もいらっしゃいます。 無垢の木を使った内装や自然素材とは非常になじみが良く、とても居心地のいい空間に仕上がりますよ。
玉紙は、越前和紙のふるさと福井県にある株式会社丸和さんで開発された和紙壁紙です。 和紙の持つ調湿作用を活かしながら、水を弾き空気を通す「超撥水加工」を施して、耐久性もアップさせました。
本来、和紙は空気中のホコリやゴミを寄せつけにくく、クリーンな状態を保つことができる一方で、防水性や防汚性がないため、表面に付着した水滴や 汚れが中に染み込んでしまう欠点がありました。 玉紙は、和紙に特殊な加工を施すことで、この欠点を克服したのです。
玉紙の原料として使用されているのは、全て自然素材です。 ベースとなる和紙は、山林に生える楮や三椏、雁皮などの植物から作られています。 加工の過程でも、有害物質や化学物質は一切使用されていません。
自然から生まれ自然に還る、環境にも優しい製品です。 小さなお子様がいらっしゃるご家庭も、これなら安心して取り入れられますね。
「彩かさね」は、玉紙をアレンジして作られました。 玉紙に揉み加工を施して、より上質な手触りを実現し、自然な美しい色に染めたものです。
耐水性と強度があるため、壁紙としてだけでなく、小物やクラフト製品、インテリアなど、様々なシーンで活用されています。
彩かさねのの柔らかな素材感を出しているのが「揉み加工」です。 紙を揉むことで繊維をほぐし、ふんわりと手に馴染む風合いを生み出します。
揉み加工は、1500年の歴史を持つ伝統工芸品「越前和紙」から生まれたものです。 越前和紙の丈夫さや持ち味が、玉紙に息づいています。
彩かさねは摩擦に強いため、質感がいつまでも変わらず長持ちします。 加工しやすく取り扱いが簡単なので、壁紙として使った場合も、美しく仕上げることができます。
自然素材なので身体に害がないのはもちろん、処分時は燃やしても地中に埋めても環境汚染の心配がないのも強みです。
壁紙として使用する際のポイントは、汚れにくく、水拭きができて手入れが簡単だということ。 超撥水の壁紙なので、実際に水をかけてみると、水が玉になって弾き返されるのが分かります。
リフォームの際には、和室の一面だけに採用して、アクセントウォールとして使用すると素敵です。 玉紙のもつ柔らかい風合いが、インテリアのアクセントになりますよ。
さらりをエコにしたのが、「玉紙・木凛(きりん)」です。
木凛には天然ゼオライトではなく、北陸の杉チップが含まれています。 調湿性は控えめですが、国産材の木片が使われているので、とってもエコロジー。 地球にやさしい壁紙です。
詳しくは、株式会社丸和さんのホームページをご覧ください。
高知県土佐市で作られる土佐和紙。
土佐和紙の魅力は、なんと言ってもそのやわらかい風合いです。 植物の繊維を漉き込んで作られた独特のテクスチャーは、見る人、使う人を安らいだ気持ちにさせてくれます。
土佐和紙で作られた便箋やメモ帳も、独特の素材感を持っています。 和紙の便箋で手紙を書けば、自然といつもより背筋が伸び、文字だっていっそう丁寧に書けそうですね。
そんな土佐和紙は、小物だけではなくて、住まいとも相性抜群です。 インテリアの分野でも和紙の良いところが発揮されて、大活躍しています。
ここでは土佐和紙のクロス(壁紙)を中心にご紹介します。
土佐和紙の起源は古く、平安時代にさかのぼります。 土佐和紙は、1400年も前から作られ続けてきたのです。
「土佐は紙を作る国」と古い書物にも記録があるそうです。 長い歴史がある和紙なんですね。
土佐和紙は、昭和51年に日本の伝統工芸品として指定を受け、土佐和紙を代表する「土佐典具紙(とさてんぐし)」と「清帳紙(せいちょうし)」は国の無形文化財にも指定されています。
土佐和紙の住まいの中での用途は壁紙だけではなく、照明のシェードとしても使われています。
和紙壁紙はビニールクロスに比べると、弱くて汚れやすいイメージがあるかもしれません。 確かに、濡れた雑巾で土佐和紙のクロスをザッと拭くことはできません。 水まわりには不向きですが、場所を選んで使えば、壁紙としての強度は十分です。
お住まいに自然で素朴な風合いをプラスしてくれますよ。
天然素材
土佐和紙の原料は、ケナフ、木材パルプ、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、 雁皮(がんぴ)など、すべて天然の素材です。焼いても有害ガスが出ることはないし、土に埋めればそのまま自然に還ります。
調湿作用
紙は木と同じように呼吸をしています。湿度が高い時は湿気を吸い、乾燥している時は湿気を出すので、夏は涼しく冬は暖かく過ごすことができます。調湿作用があるので、結露やカビが発生することもありません。
調光効果
和紙のランプシェードの柔らかな光を見たことがありますか?和紙の表面は繊維がランダムに並んでいるため、光を乱反射します。土佐和紙クロスの調光効果で、やさしい光に室内が包み込まれます。
吸音効果
土佐和紙は、光と同じように音も分散させる性能があります。大きな音も、土佐和紙の壁紙に柔らかく反射して、私たちの耳にやさしく届きます。
静電気が発生しない
和紙壁紙は静電気が発生しないため、ホコリがつきにくくなっています。長年使っている壁紙を拭いてみると、けっこう黒くなっていて驚いたりしますが、土佐和紙のクロスならそんなことはありません。
土佐和紙のクロスには、様々なカラーが用意されています。また、麻や藁などを漉き込んだ土佐和紙も、味があっていいものです。 ただし、天然素材のため、ロットによって色などが若干異なりますので、特にカラーのクロスを選ぶ時はご注意ください。
また、土佐和紙のクロスは防水処理がされていないため、トイレなどの水まわりリフォームには不向きです。
現在でも、和紙の原料である楮や三椏は、半分以上が高知県で生産されています。 みなさんのお財布に入っている1万円札も、土佐和紙で作られているそうです。 紙幣として使われるほど丈夫な素材ということですね。
和紙は自然素材のため、時間が経つほどに味わいを増していきます。 経年すると古ぼけた感じになってしまうビニールクロスとは、ひと味違った空間を手に入れることができますよ。
また、和紙=和室というイメージがあるかもしれませんが、実は洋室にも良く馴染みます。 洋室に一風変わった趣を加えたい、とお考えでしたら、ぜひ候補に入れてみてくださいね♪
※なお、エコリフォームでは四国わがみさんの土佐和紙をよく採用しています。
日本では昔から、未熟な青柿の汁を発酵させて「柿渋」が作られ、防水・防虫効果を活かして、染料や塗料などに使われてきました。
柿渋は独特の臭いがありますが、5年以上寝かせると消えてきます。 古い柿渋は塗料に適していて、色が濃く艶のある仕上がりになります。
柿渋和紙は、この柿渋を和紙に塗ったものです。
和紙はもともと丈夫な素材ですが、柿渋を塗ると、さらに耐久性が増します。 さらに耐久性を高めるために、松煙墨(しょうえんずみ)や、赤色顔料のベンガラを混ぜる場合もあります。
和紙も柿渋も100%自然素材で作られているので、有害物質などは一切含みません。
柿渋には、防虫、抗菌、防腐、消臭、防水など、様々な効果があり、柿渋和紙にもこれらの効果が発揮されます。
柿渋和紙の壁紙は、シンプルで素朴な雰囲気をもたらします。 床の間の一部に柿渋和紙を張ってインテリアのアクセントにしたり、他の和紙と組み合わせて格子模様を描くなどのアレンジも楽しいですね。
同じ柿渋和紙でも、色味の薄いものから濃いものまで、様々な表情を選ぶことが可能です。 一点一点がオリジナルの柿渋和紙は、こだわりを持った壁にリフォームしたい方に、ぜひ選んで欲しい壁紙です。
様々な和紙壁紙がありますが、その一つが独特の質感をもった「漆和紙」です。
漆和紙は、楮(こうぞ)を主原料とした和紙に、漆を塗ったものです。 楮はとても強靭な植物で、楮から作られた紙もたいへん丈夫なものです。漆を塗ることでさらに強度が増します。
漆和紙は一枚一枚手漉きで作られるため、独特の風合いのオリジナルな壁紙が出来上がります。
また、漆を塗っているため防水性が高く、水まわりの壁に使うこともできます。
漆和紙の壁紙は不燃材料として認定されていて、化学物質を含まない自然素材でもあるので、一般住宅はもちろん、ホテルや病院、公共施設などでも安心して使用することができます。
漆和紙の壁紙は、お部屋に華やかで重厚な雰囲気をもたらします。表面は立体的になっているので、明かりが当たると陰影が生まれ、また違った表情を楽しむこともできます。
白い漆和紙もありますが、濃く渋めのカラーが多く、この色味を生かしてインテリアのアクセントにするのがオススメです。 他の和紙素材と組み合わせたり、家具に張ったりするのもおしゃれですね。
また、マンションや店舗などでは、漆和紙の背後から照明を当てる印象的な使い方もされています。 住宅のリフォームでも、味わいの深い漆和紙を上手に使って、メリハリの効いたインテリアを作ってみましょう。
2階の一部に土佐和紙のクロスを張ったリフォーム事例をご紹介します。伝統的な日本家屋の塗り壁ともマッチしています。