これからの木造住宅の耐震のポイント

制震

我が国の一戸建てのほとんどは、木造住宅です。
その中でも数多くの建物は、木造軸組み工法といわれる工法を用いています。

木造軸組み工法

この工法は、マッチの軸を思い浮かべてもらえばよいのですが、約3メートルの材木を立ててつないでいきます。
上からの重量が重い場合や長い材料の場合、この寸法が大きくなったり長くなったりします。

この軸組をつないでいるのが、材木に穴を掘ったりつなぎ目に加工を施したりしますが、現在の工法では数多くの金物で緊結しています。
そのため地震という強い水平の力が加わると、骨組みや壁、床などの各接合部にも力が加わります。
この接合部が弱点となります。

また、強い水平の力に抵抗するために「耐力壁」をバランスよく配置して、接合部を固く結合させるのです。このことにより構造力を高め強い水平方向の力に対して変形しないようにする、これが現在の地震に対する考え方です。
これをよく覚えておいてください。
何度も言いますが、この考え方が今の木造建築の耐震対策になっています。


建物は、財産の塊です。我々が持っている財産の中でも最大のものと言えます。
その財産が、一瞬のことで失われたり半分になってしまったり簡単になってしまうのです。
いつ起きるかわからない巨大地震のために対策するのは、とても難しいことです。

建物が新しければ、対策も方法もある程度行うことはたやすいといえます。しかし、日本の税制では、木造住宅では25年たってしまえば価値がなくなってしまいます。
私どもがリフォームする建物や、父が建てた60年前の建物など、今でも現役で建っています。
しかし耐震診断してみると、如実に弱い部分がわかります。弱い部分は改善して補ってあげれば、まだまだ今の建物にも負けません。

しかし、改善できない部分もあります。
それは「地盤」です。
地盤の弱い土地では、建物の耐力を50%強くしなさいという基準法で決まりがあります。
しかしながら、リフォームにおいては難しいものがあるのが現実です。耐震強度を上げて、今の基準と同じようにしても心配な点はまだあります。

それは、繰り返す「余震」です。
地震の揺れには「前震」「本震」「余震」に分ける事ができます。

地震

令和6年能登半島地震の本震は、2024年1月1日16時10分に発生しました。
マグニチュードは7.6でした。
その4分前の16時06分に、別の場所を震央とするマグニチュード5.5の前震が発生して最大深度5強が観測されていたそうです。
たった4分です。
本震の後にも最大震度5強以上の強い地震が繰り返し発生したそうです。何度も何度も繰り返し強い揺れに被害にあわれた方たちは相当な恐怖だった事と思います。

住宅の中にいる場合は、家自体がシェルターの役目になります。
一度目の大きな地震に耐えうるのが耐震性能です。これが低くては話になりません。
しかし、何度でも繰り返す余震や本震と同様な強烈な余震が何か月も後にくる場合があります。

1983年に発生したM7.7の日本海中部地震や1993年に発生したM7.8の北海道西沖地震です。本震から1か月後に最大震度の余震が来ています。

また、2016年4月16日に発生した熊本地震では、最初に発生した地震は、M6.5で、その2日後にM7.3の地震が発生しました。この熊本地震では「前震、本震、余震」の区別が困難で、同じ地点で震度7が2回も来るという、地震の観測が日本で行われてから初めてという事態になりました。


このようにただやみくもに耐震強度を上げても、繰り返す地震に対しては厳しいところがあります。

そのため私たちは耐震リフォームを推し進めてまいりましたが、今後はさらに「制震リフォーム」をお勧めしていきます。何度でも繰り返す地震に対して極めて有効な手段です。
耐震性能を上げてから後に制震技術をプラスします。
最初の強い揺れに対してはしっかりとした「耐震」で対策し、そののちに来る、繰り返す「余震」に対しては、地震の挙動エネルギーを熱やその他のエネルギーに変換する「制震ダンパー」を利用して対策します。
このことにより安心で安全な住宅になります。

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