今回は地震から少し離れて、建物の断熱について考えてみたいと思います。
エコリフォームでは、築年数の古い木造住宅のリフォームを数多く手掛けています。リフォームをご依頼いただいたお客様から伺うのは「とにかく冬の寒さが厳しくて…。」というお悩みです。
昔の木造住宅は通気性が高く、室内の温度が外気温に左右されやすいため、暮らしにくさを感じる方が多くいらっしゃいます。暖房器具を使ってもなかなか部屋の中が暖まらないので何とかしたいというご相談をよく受けます。
窓に断熱シートを貼ったり、すきま風を防ぐテープを貼ったりと手軽にできる対策はありますが、やはり一番効果が高いのは、床下や壁などの構造から見直して大規模にリフォームする方法です。
築50年をこえる住宅でも、スケルトンリフォームでまるで新築のような暖かい家にすることが可能です。
そこで、我々が冬でも暖かく過ごせる家にリフォームするために行っている工事とその効果を解説します。
窓の交換
住まいの中で熱の出入りが一番大きい場所は窓といわれています。
画像:YKK AP「ローエネで、暮らそう」より
窓から外の冷気が伝わってくると、冷えた空気が部屋の下に溜まり、足元から寒さを感じる大きな要因となってしまうのです。
昔は1枚のガラスを枠にはめていましたが、現在は2枚または3枚のガラスをはめ込み、窓の中に空気層を作ることで断熱性を上げています。ガラス自体に特殊な金属膜をコーティングして断熱性を高めたLow-Eガラスもあります。
また、窓のフレームもアルミから熱伝導率の低い樹脂のフレームにすることで熱の流出が大幅に抑えられます。
窓を丸ごと交換するにはその周りの壁の工事も必要となるため、なるべく費用や工期を抑えたいという場合には、既存の窓の内側にもう一枚インナーサッシを取り付ける方法がおすすめです。
床下の断熱
古い木造住宅では、床板を上げてみたら土が見えるという家が珍しくありません。特に和室では畳の通気のために床板にわざと隙間をもうけていることがあり、これが室内へのすきま風の原因の一つになります。
リフォームの際には床下にも断熱材を入れておくと、地面から上がってくる冷気を遮断することができるので、足元の冷えがかなり改善されます。
戸建の工事では、フクフォームEcoなどの板状の断熱材を根太の間にはめ込んでいく工法を多く採用しています。
壁・天井の断熱
壁の断熱材は湿気を吸って劣化するとその効果を発揮することができません。そもそも古い家では最初から断熱材が使用されていない家も多くあり、そういったお宅の冬場の室温はかなり厳しいものと思われます。
天井にもしっかり断熱材を入れておくと、暖まった空気が上に逃げていかないので冷暖房効率が向上し、省エネにつながります。
壁や天井の断熱には、ペットボトルの再生材を綿状にしたパーフェクトバリアや、古紙を羽毛のようにして壁の中に吹き込むセルローズファイバーを用いることが多いです。どちらも湿気に強く長持ちするおすすめの素材です。
自然素材を使用する
寒い冬にも暖かく過ごせる高気密・高断熱住宅ですが、現代社会でシックハウス症候群が注目されるようになったのも高気密・高断熱の弊害といえます。
室内に使用する素材は化学物質を使用しているものを極力減らし、健康に暮らせる室内環境づくりが重要です。
無垢フローリングや珪藻土などの調湿性のある自然素材は部屋の中の湿度を適度に保ち、手触りや見た目だけでなく、目に見えない空気も快適にしてくれます。
古い家のリフォーム費用について
大規模にリフォームしたい!というときに気になるのはその費用です。築年数の経った住宅のリフォームでは、家の大きさや傷みがどれだけあるのかによって工事の費用が大きく変わってきます。
一概に「この工事をしたらいくら」と提示することはできませんが、予算を立てる上での一つの目安として、壁に断熱材を施工した場合には100万円~と考えておくと良いでしょう。費用について詳しくは以下の記事も参考にしていただければと思います。
補助金を活用した断熱リフォームも
また、近年住宅の省エネ・断熱リフォームについて補助金を支給する動きもあります。2020年度は一般社団法人 環境共創イニシアチブによる「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)」が実施されました。
過去には国土交通省による住宅エコポイントや次世代住宅ポイント制度もありましたが、どのような助成制度が制定されるかは、その年によって異なりますので、計画を立てる際に確認してみましょう。
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エコリフォームwebサイトの「リフォームQ&A」にて、古い家の寒さについて解説しています。こちらもあわせてご覧ください。