耐震工事が必要なのはどんな家?

地震と建物を考える

昨年は「災」が今年の漢字として選ばれ、地震や台風など大きな災害がいくつも起こった一年でした。
今年は何事もなく平穏にいってほしいものですが、地震に関しては「一年間何事もなく平穏に」とはなかなかいかないのが困ったものです。

年明け早々、熊本県では和水町で震度6弱を記録する大きな地震が発生しました。
幸いにも大きな被害はなかったようですが、2016年の熊本地震からまだ日が浅いこともあり、被災された方はかなり不安な日々を過ごされたかと思います。

熊本だけでなく、地震はいつどこで起きても不思議ではありません。防災用品や避難経路など、日ごろから備えをしっかりとしておくことが大切です。

なかなか進まない自宅の耐震化

先日、熊本日日新聞にこんな記事が掲載されていました。

自宅耐震化、熊本地震後も進まず 理由に「費用がない」 |熊本日日新聞

熊本県が無作為に抽出した県内在住の成人男女にアンケートを送り、自宅の耐震化についてのアンケートをとったところ、ほぼ半数の人が「耐震工事を実施する予定はない」または「実施するか分からない」と回答し、その理由として「費用がない」と回答したのが約7割、「何から始めたらよいか分からない」としたのが約2割であったそうです。

この「費用がない」と回答した人のうち、実際に耐震工事にどのくらいの費用がかかるか調べた人はどのくらいいるでしょうか?
そこまでの調査は行われていないため、正確には不明ですが、おそらく「耐震工事はお金がかかりそう」という何となくのイメージで回答した人が結構な数でいるのではないかと思います。

今回の調査を行った熊本県をはじめ、全国の多くの自治体では、要件を満たした住宅に対し、耐震診断や耐震工事の費用を一部負担する補助制度があります。
しかし、残念なことにこの補助制度を口実として不当な工事を迫る悪徳業者もいるようです。

「よく分からないので何もできない」と不安に思いながら過ごすよりも、正しい情報を手に入れて必要なものとそうでないものを選択できるようにしましょう。

耐震工事が必要なのはどんな家?

耐震工事を行うには、まずその建物がどの程度地震に耐えられるかを調べる耐震診断が必要です。耐震工事が必要な家はそれぞれの建物の状態により様々ですが、1981年より前に建った建物か」という点が一つの判断基準になるでしょう。

建築基準法は19816月に耐震基準が強化され、この基準は「新耐震基準」と呼ばれています。それに対して1950年に建築基準法が制定された当時の耐震基準は「旧耐震基準」と呼ばれ、この時の基準は「震度5程度の地震で倒壊しない」というものだけでした。

新耐震基準では「震度5程度では損傷しない」「震度6強から7では倒壊しない」に引き上げられ、この基準を満たした建物だけに建築許可が与えられているため、19816月以降に建築許可が下りた建物についてはあらかじめ一定の強度が期待できるのです。

また、20006月には木造建築物の耐震基準をより強固にした改正が行われたため、2000年以降の建物であればより強度が高いと言えます。

自分でできる耐震診断

日本建築防災協会では、ホームページ上で「誰でもできるわが家の耐震診断」として簡単な質問に答えるだけで簡易的な耐震診断を行える項目を公開しています。

>誰でもできるわが家の耐震診断|(一財)日本建築防災協会

旧耐震基準の建物や、新耐震基準を満たした建物であってもこちらのチェック表で10点満点中7点以下であった建物は、耐震性に不安要素があるため、専門家による耐震診断を受け、必要に応じて耐震工事計画を立てるのが良いでしょう。

次回は、専門家が行う耐震診断と、耐震工事の費用について詳しくご説明します。

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