エコリフォームのwebスタッフ柴田です。
エコリフォームのwebサイトには100件以上のリフォーム事例があるので、日々SNSでご紹介しているんですが、先日けっこう好評だったのがこちら。
築90年の長屋をスケルトンリフォームした事例です。
「え?築90年??」と驚かれた方も多かったんじゃないかと思います。私も初めは耳を疑いましたが、リフォーム前の写真を見ると、確かに築90年っぽい感じもします…。
90年前と言えば、まだ昭和の初め頃じゃないですか。関東大震災よりは後ですけど、太平洋戦争よりは前です。その頃からずっとある建物だと思うと、何とも感慨深いものがあります。
しかし疑問なのは、築90年の家をリフォームして、本当に大丈夫なのか?ということです。本当にちゃんと住める家になるんでしょうか?
木造住宅って、どのくらい持つの?
そもそも、木造住宅はどのくらい持つのでしょうか? 法隆寺さんは1300年持ってますけど、あれは別格として、一般的にはどのくらいなんでしょう?
1つ目の目安として、国税庁による「減価償却資産の耐用年数」があります。これでいくと、住宅用の木造住宅の耐用年数は、たったの22年なんです。なんと短いことよ! でもこれは、税金を徴収する上でのお話なので、建物が持つ期間というわけではありません。
国土交通省「日本の住宅は長持ちしない?」によると、住宅・土地統計調査からわかる住宅の利用期間は平均30年です。これは木造住宅に限らないデータですが、少し延びてきました。
さらに国土交通省「住宅に関する価格評価手法【指針参考資料5】建物の平均寿命について」では、固定資産台帳から推測される木造住宅の寿命が、下記の通り徐々に延びていることがわかります。2011年の調査では約65年になっています。これなら木造住宅の寿命のイメージに近い気がします。
用途 | 1997年調査 | 2006年調査 | 2011年調査 |
木造専用住宅 | 43.53年 | 54.00年 | 65.03年 |
いや、ちょっと待ってください。これ、平均じゃないですか。ということは、平均寿命が65年だとすれば、-25年して築40年くらいの家もそこそこあるし、+25年して築90年くらいの家もそこそこあるってことですよね。(ちょっと乱暴な推測ではありますが)
調べてみてわかったのは、住宅の寿命を正確に知るのは難しいということです。なぜなら、人が住んでいない住宅もあれば、まだまだ住めるのに事情があって壊してしまう住宅もあるからです。
国土交通省も住宅の長寿命化を推進!
ちなみに、国土交通省では2001年頃から、住宅ストックを重視する施策を打ち出しています。空き家問題を解決すべく、中古住宅をきちんとリフォームして流通させるのが目的です。これまでのように建物をすぐ壊して建て直すのではなく、適切に手入れをして住みついでいくことで、建物も徐々に長寿命化していると言えるでしょう。
また、国土交通省が長い間住める住宅として認定する「長期優良住宅」も、今年、令和4年10月から、既存住宅に拡充されました。これまでは新築または改築時のみに認定されていたのが、建築行為なしで認定されるように改正されるのだそうです。
国のお墨付きで、これまでよりも築年数の長い家に住む人が増えていきそうですね。ま、築90年でも大丈夫かどうかは、その建物によりますが…。
築90年以上のリフォーム事例を紹介します
エコリフォームのリフォーム事例には100件以上の事例を掲載していますが、その中でも珍しい、築90年以上の事例を3つご紹介します。どの事例も、築90年とは思えない仕上がりです!
築90年でも大丈夫!小さな長屋のスケルトンリフォーム
まずは冒頭でご紹介したこちらの事例。築年数は90年以上、詳しくわからないとのことで、もしかしたら築95年から100年くらい経っているかもしれません。建坪約7坪の小さな長屋住宅です。
これだけ古い家になると、まずお風呂はありません。居室は畳敷きの和室で、部屋が細かく分かれています。そして収納は少なめです。
現代の私たちから見ると、非常に暮らしにくいような気がしますが、建築当初の暮らしにはぴったりの建物だったんだろうなと思います。時代が変わっても建物は変わりなく、同じ場所にそのまま建っていたんですね。
この家は住宅密集地にあり、長屋の狭小住宅で、細い路地にしか接していません。そんな立地もあって工事は困難を極めましたが、構造から見直したお陰で、これからもまだまだ安心して暮らせる家に生まれ変わりました。
築95年の長屋を「もう一つの我が家」にリフォーム
次にご紹介するのは築95年のお住まい。こちらも長屋住宅です。建築当時の東京都心には長屋が多かったんでしょうね。
リフォームをご依頼くださったS様は近所にご自宅があるため、この家をセカンドハウスとしてリフォームされることにしました。賢いですね~。
やはりお風呂はありませんでしたが、1階にゆったりとしたユニットバスを設置。居室はお気に入りのインテリアにして、趣味を楽しめるスペースに。お子様が帰省されたら宿泊することもできるという、なかなか贅沢なセカンドハウスです。
S様のご要望で耐震性もアップして、地震にも強い家になっています。
築90年の長屋住宅。設計の妙が光る7坪リフォーム!
3つ目の事例も長屋住宅です。こちらは築90年になります。数年前にリフォームした事例なので、昭和どころじゃなかった、大正2年築だそうです。
かなり以前に3階を増築したとのこと。今ではなかなか増築なんかできませんが、気軽に3階部分を乗っけられる時代もあったんですね…。
こちらのお住まいで特徴的なのは、使いやすく工夫した間取りです。3階建てとはいえ、建坪7坪のお住まいに、ご家族お二人+ワンちゃんのスペースを詰め込むのは、なかなか難しかったのだそうです。インテリアコーディネーターの腕の見せどころですね。
また、こちらの建物に限らず、築90年の建物は断熱性がほとんど考えられていません。リフォームの際に断熱材をしっかり入れて、夏も冬も快適に過ごせるようにすることも大切なのです。
築90年でも、スケルトンリフォームなら大丈夫だけど…
3つの事例を見てきたように、築90年でも、構造から見直すスケルトンリフォームをすれば、耐震性も断熱性も上がって、まだまだ住み続けられる家にすることができます。
ありかなしかで言えば、築90年の家のリフォームは、あり!という感じです。
とは言え、築90年の家がさらに90年、合計180年持つか…と言われると、難しいかもしれません。この先、どのくらいの期間住もうと考えているかも大事なポイントです。
エコリフォームでリフォームをされるお客様は、長屋だったり、狭小住宅だったり、セットバックが必要だったりして、建て直して新築する選択肢がない方も多いのです。さらに、こうした築90年を超える建物のスケルトンリフォームは、新築以上の費用がかかってしまいます。
もし新築できる状況なら、築90年の家は建て替えた方がいい…かもしれませんね。
エコリフォームのホームページでは、上記のほかにも築70年以上の家のリフォーム事例をまとめてご紹介しています。ぜひご覧ください。
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